尿意が出現するとトイレまで我慢できず漏れそうになる。日中夜間の頻繁な強い尿意を症状として自覚する病気です。男女問わずに中高年の患者さんが多い病気です。男女計800万人以上の患者さんがいるという統計データもあります。生活習慣病、肥満、動脈硬化やストレスなど様々な原因が関与していると言われております。
内服加療の継続により多くの過活動膀胱の症状を抑えられ、日常生活や睡眠状況の改善が期待できます。
当院では2020年から保険診療として認可されているボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法を行っております。
過活動膀胱の内服を行っていても症状の改善が乏しい方に施行でき、80%以上の症状改善が期待できます。
年齢とともに尿の勢いの低下、夜間の頻尿を症状として自覚する病気です。膀胱、尿道の間にある男性特有の前立腺という臓器が大きく肥大し尿道を圧迫することにより生じます。加齢とともに増加し50歳以上の男性で5人に1人程度の有病率となっております。
当院では保険診療としてエコー検査、尿の勢いをチェックする検査、尿定性沈渣のチェック、前立腺癌の否定(採血PSA検査)などを行い、適切な内服治療を行ってまいります。内服の継続により長期的な症状の改善が期待できます。
膀胱や尿道や排尿を担う骨盤の筋肉の神経障害によって生じる病気です。尿意の感じにくさ、尿もれ、尿失禁、尿路感染症など様々な症状を生じます。認知症やパーキンソン病、脳卒中など様々な神経疾患、精神科の内服加療などによっても生じることがあります。適切な内服治療や処置を行わないと腎臓機能の低下などが生じることがあるために注意が必要です。当院では尿の勢いのチェック、尿検査、採血腎臓機能チェック、膀胱エコーのチェックなどを行い診断や治療を行っております。
咳やくしゃみ、重いものを持ったりした際に尿意はなくても尿が漏れてしまうという症状の病気です。女性の尿失禁の約50パーセントを占める病気であり、いわゆるうっかり尿漏れと呼ばれているものです。出産や加齢、ホルモンの影響で症状が出現すると報告されています。過活動膀胱と併発することも多く様々な内服療法や骨盤底筋体操などの筋力を補う治療も行っております。
当院では尿の勢いの検査、エコー検査、尿定性尿沈渣などを行い診断治療します。
腎臓から尿道の尿の通り道に小さな結石が詰まってしまうことで激痛を生じる病気です。
腎臓から尿管、膀胱、尿道と詰まる場所によって痛みの場所が変化することがあります。背中や下腹部の強い痛みが生じることが多く、血尿を伴うこともあります。多くは食物に含まれるシュウ酸(苦味の成分)の摂取や遺伝性、肥満などが関与されると言われております。尿路感染を合併することもあり、発熱などの症状もある場合には早期の抗生剤治療が必要になります。結石の閉塞が解消されない場合は症状が長期に持続することがあります。内服治療を長期行っても排石がない場合は適宜外科的治療をご紹介することがあります。
当院では腎臓エコーや尿定性、尿沈渣を行い内服治療にて除痛と排石促進を行ってまいります。
男性がんの中で最も多いがんであり2021年には年間95000人が前立腺がんの診断となっております。
年齢とともに増加し、家族歴や喫煙歴、食生活の欧米化などが影響していると言われております。
早期の前立腺がんには症状がなく転移や局所浸潤など進行して初めて症状が出るために50歳以上の患者さんは採血でPSA値のチェックが必要です。(下記参照)
当院では前立腺エコー、前立腺触診、PSA採血によって精査を行い、必要に応じて画像の検査を追加していく方針をとっております。また前立腺がんに対するホルモン治療なども豊富な治療経験があるため、当院でも対応可能です。お気軽にご相談ください。
膀胱癌、尿管がんは男性に多いがんで尿の通り道である尿管、膀胱内にできる悪性腫瘍です。女性や喫煙者にも出現することがあります。症状の多くは無症候性肉眼的血尿(症状は全くないのに急に色がついた尿が出た)というものです。初期の膀胱癌、尿管がんは無症状のことが多く、健康診断にて血尿、潜血が陽性となった患者さんや心配がある患者さんは是非ご相談ください。
また膀胱癌の治療経過観察、BCG膀胱注入療法なども適宜対応可能ですのでぜひご相談ください。
当院では尿定性、尿沈渣、尿細胞診(尿検査の中に悪性細胞がないかをチェック)、軟性膀胱鏡(痛みが少ないファイバーの膀胱鏡)によって詳しい検査を行っております。
60代から70代に生じる腎臓にできた悪性腫瘍です。
多くは偶然の画像検査にて発見されることが多く、進行すると肺などの臓器の転移や血管への浸潤を生じることがあります。当院では腎臓エコーや尿検査、尿細胞診(尿検査の中に悪性細胞がないかをチェック)検査し、適宜画像検査を追加します。
外科的治療などが必要と判断した場合には近隣の地域連携病院をご紹介致します。
術後のフォローアップなどの患者様も対応可能ですのでお気軽にご相談ください。
腎臓から尿管、膀胱、尿道と尿の通り道に細菌が入ってしまうことによって、様々な症状を引き起こします。細菌感染が起こった部位によって腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎、精巣上体炎(精巣付近の痛み腫れ)というような病気を引き起こします。症状は頻尿、発熱、背部の痛み、下腹部痛、排尿時の痛み、血尿、尿の濁りなど様々です。しっかりとした抗生剤治療や予防治療を行う必要があります。当院では尿の培養検査(原因菌の特定)、尿定性、尿沈渣、エコー検査などによって尿路感染症の診断を行って参ります。
包茎は亀頭が包皮に覆われて露出していない状態を言います。
小児期では基本的に包皮が発達しておらず完全に皮を剥くことが出来ないのが正常です。二次性徴(15−17歳)に男性ホルモンにて包皮が発達することによって多くは自然に解消されます。包皮に傷が付いている、痛みがある、排尿するときに包皮が膨らんでくる、などの症状がある場合には排尿障害や細菌による炎症反応を起こしている可能性があるためにお気軽にご相談ください。
5歳以降で一ヶ月に1回以上のおねしょが3ヶ月以上続くものを夜尿症と言います。
5歳から9歳では約11%程度の夜尿症が認められると言われております。基本的に夕食後の飲水量の制限や就寝前の排尿の励行など生活指導や行動療法を行っていきますが、当院ではデスモプレシンなどの内服加療を行って参ります。尿検査や膀胱エコーにて排尿障害がないことの確認を行って参ります。
性行為などによって感染が生じる疾患の総称です。通常の性行為の他にオーラルセックスなどの口腔粘膜を介する感染も多くあります。主な性感染症は以下に示す通りです。性感染症は無症状のことや男女によって、個人によって症状がほとんど出ないことも多く、知らず知らずのうちに感染を媒介してしまうことがあります。また近年梅毒などの治療介入を行わないと重症化してしまう性感染症や不妊の原因や赤ちゃんへの感染の原因になる性感染症も多くあります。症状の多くは排尿時痛、違和感、尿道からの膿、陰部の変化、咽頭痛などです。
当院ではエコー検査に加え、採血検査、尿培養検査、尿一般検査、尿沈渣検査などを行っていきます。
男性の排尿時痛を症状として発症します。コンドーム使用を行わず性行為を行うと50−70%の感染率があるという報告があります。潜伏期間は男性数日、女性2週間程度です。尿道炎による濃性の分泌、排尿障害、排尿時痛、咽頭痛などの症状があります。感染が波及骨盤や、精巣、新生児の感染などが生じることがあり適切な診断や治療を早期に行うことが必要です。通常の薬剤に耐性のある淋菌も報告されています。
治療としては尿や咽頭などの培養検査を行い、抗生剤の点滴注射、筋肉注射を行います。
治療後2−3週間後に再度培養検査やPCR検査にて感染が陰性化したことを確認する必要があります。
性感染症の中で最も感染者が多く、通常の性行為だけではなく様々な粘膜と粘膜の接触にて感染が生じます。梅毒やHIVなどの他の性感染症と合併して感染していることも多く、無症状のこともあるために知らず知らずのうちに感染を広げてしまうことがあります。潜伏期間は1−3週間と淋菌よりやや長く、症状は尿道からの分泌物や軽度の違和感に留まることが多いです。男性では菌が精巣付近まで進みクラミジア性精巣上体炎(発熱・陰嚢痛)となることもあります。女性の70%は無症状にて感染することが多く治療を行わないと子宮外妊娠の原因や肝臓や骨盤の重症な感染症に移行することがあり、適切な診断と治療が必要です。
治療は抗生剤の内服治療を行います。治療の際にはパートナーも含めた抗生剤治療が必要です。
治療後2−3週間後に再度培養検査やPCR検査にて感染が陰性化したことを確認する必要があります。
非淋菌性非クラミジア性尿道炎
(原因菌 ウレアプラズマ・ジェニタリウム性 マイコプラズマ・ジェニタリウム)
クラミジアや淋菌いずれの検査も陰性であるにも関わらず排尿時痛、尿道分泌物が出現する場合非淋菌性非クラミジア性の尿道感染症の診断となります。診断の確定にはそれぞれのPCR検査を行う必要があり、保険適応とはなっていないため自費での検査となります。(2023年現在)
潜伏期間は2週間程度、症状はクラミジア感染症と似た症状であり、咽頭痛、排尿時の違和感、膿尿、下腹部痛などです。
治療は抗生剤内服加療にて対応します。
近年首都圏での梅毒患者数の増加がニュースでも取り上げられています。梅毒は性的な接触以外に、皮膚などの病変に直接接触して感染することもあります。潜伏期間が10−90日程度あり、菌が全身に播種されるために様々な症状が出現してきます。梅毒は時間経過によって、病期は第1期から第4期に分けられています。
梅毒は血液の抗体検査で診断でき、ペニシリン系の抗生剤による適切な治療で治すことができます。母親が感染していると新生児が先天性梅毒になる可能性がありますが、適切な治療で治すことができますのでできるだけ早い受診が必要です。無症状であっても採血検査にて簡単にチェックができます。お気軽にご相談ください。
トリコモナスという原虫によって感染することによって生じます。
おりものの増加や陰部のかゆみなどを症状として発症し、男性では無症状のことが多いと言われています。
感染後に治療を行わないと不妊や流産の原因となることもあり注意や治療が必要です。また膣の異臭やおりものの増加なども生じることがあります。
PCR検査や顕微鏡検査を用いて診断を行います。
治療は抗生剤の膣錠や内服治療を行います。
HPV(ヒトパピローマウイルス)が原因で起こる性感染症の一種です。尖圭コンジローマのHPVは、子宮頸がんの高リスク型HPVとは違う低リスク型HPV(6型・11型)です。 性行為を介して性器に感染する他、オーラルセックスやキスで口腔内に感染が起こる場合もあります。性器や肛門周囲に乳頭のようなイボや鶏のトサカのようなイボができます。カリフラワーのようなイボと言われます。一度症状が出現するとイボを完全に除去するのは難しく、外科処置)電気メスや凍結療法)でイボを取り除いてもウイルスが体内に残っていることが多く再発リスクの高い病気です。 治癒率60−90%、再発率20―30%と報告されています。
出産時に母親が感染していると赤ちゃんに感染する恐れがあります。
治療は当院では外用の抗ウイルス薬によって処置を行います。
HSV(単純ヘルペスウィルス1型、2型)が原因となり皮膚や粘膜接触にて感染が生じます。外陰部に水疱(ブツブツ)や水疱が破れて潰瘍(ただれのような状態)になると痛み、かゆみ、違和感などの症状が出現します。稀に尿道炎を生じることもあります。
臨床症状やHSV迅速キットなどで診断を行います。治療は抗ウイルス薬の外用や抗ウイルス薬の内服加療を行います。
ヒト免疫不全ウイルスのことであり、ヒトの免疫を司る免疫細胞に感染を起こすウイルスです。血液や精液、膣分泌物、母乳などを介して感染が生じます。通常の皮膚接触では感染は起こさず、粘膜同士の接触(性的感染、腸管粘膜の接触)によって感染が起こりやすいと言われております。
HIVの潜伏期間は1−3ヶ月であり、感染初期にはインフルエンザ様、咽頭炎、皮疹、下痢などの症状があることもありますが、無症状にて徐々に進行することも多いです。病状が進行すると免疫力が低下しAIDS(後天性免疫不全症候群)となります。
HIVの検査は採血検査でチェックできます。万が一陽性となった場合はエイズ治療拠点病院などにご紹介とすることがあります。